カーナビの精度、実は4カ国の衛星頼みだった
トンネルを抜けた瞬間、位置がすぐ直るのはなぜか
山道を走っていて、トンネルや谷間で一瞬カーナビの位置がズレても、開けた場所に出ると数秒で正しい位置に戻る。これ、実は「見えている衛星の数」が関係している。
スマホやカーナビが位置を割り出すとき、実は「GPS」という単語で一括りにされがちだが、使っているのはアメリカのGPS衛星だけではない。日本のみちびき、EUのガリレオ、中国の北斗、そしてロシアのGLONASS(グロナス)。今のスマホは基本的にこの複数システムの衛星を同時に拾って、位置を計算している。
なぜ「複数」だと精度が上がるのか
位置を出すには、最低でも4機の衛星からの電波を同時に受信する必要がある。ビルの谷間や山間部では、空が狭く見える衛星の数が減ってしまう。ここで「GPSだけ」だと衛星が足りず精度が落ちるが、GLONASSやガリレオの衛星も使える設定になっていれば、空のどこかに引っかかる衛星の総数が増え、位置計算の精度と速度が上がる。つまり普段の「一瞬でナビが直る」体験は、複数国の衛星網が重なり合って成立している。
ロシアが打ち上げたのは、その一角を担う衛星
日本時間2026年8月24日、ロシア国防省はプレセツク宇宙基地から「ソユーズ2.1b」ロケットを打ち上げ、国防省向けの機体を予定の軌道に投入したと発表した。搭載機の詳細は公表されていないが、軌道の情報などから、GLONASSの測位衛星「GLONASS-K1」である可能性が指摘されている。
GLONASS-K1は、老朽化した従来機の後継として位置づけられているタイプの衛星で、実現すれば測位精度の向上や衛星網の維持に寄与するとみられる。ただし今回の打ち上げは国防省名義で行われており、軍事関連の機体である可能性も含め、用途が測位衛星であると確定したわけではない。
遠い国の打ち上げが、手元のナビに効いてくる
ロシアのGLONASS衛星が1機古くなって精度が落ちたり、逆に新型に置き換わって精度が上がったりすると、その変化はロシア国内だけでなく、GLONASSを併用している世界中の受信機に及ぶ。日本のカーナビやスマホの多くもGLONASSを利用可能な設定になっているため、地球の裏側に近い基地からの打ち上げが、巡り巡って自分の手元の「あと数メートルのズレ」に関わってくることになる。
普段は国名を意識せずに使っている位置情報だが、その裏側では複数国の衛星網が黙って重なり合い、支え合っている。
参考
- https://sorae.info/ssn/20260825-glonass-k1.html