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カーナビが車線を間違えなくなった理由

「その車線じゃない」が減った気がする

高速道路の分岐で、カーナビの案内より一本内側や外側の車線を走っていて、直前で焦ってハンドルを切った経験がある人は多いはずだ。特に都心の複雑なジャンクションでは、案内の矢印と実際の車線がズレていて、「今のは違う道に案内されたのでは」と冷や汗をかいた記憶がある人もいるだろう。

ところが最近、そのヒヤッとする場面がめっきり減った、と感じている運転者がいる。分岐の手前でスマホやカーナビの案内がぴたりと自分のいる車線に合うようになった、という体感だ。気のせいではない。位置情報を測る仕組みそのものが変わってきている。

GPSは「だいたいこの辺」しか分からない

カーナビやスマホの位置情報は、基本的にGPS(アメリカの衛星群)からの信号で位置を計算している。仕組みとしては、複数の衛星から届く電波の時間差で自分の位置を逆算する方式で、精度はおおむね数メートルから十数メートルとされている。

道路一本分の幅がだいたい3メートル前後だと考えると、数メートルのズレは「隣の車線にいるように見える」ことと同じ意味になる。高速道路の分岐のように、短い距離で車線がいくつも分かれている場所ほど、このわずかなズレが「案内と現実が合わない」という体感に直結しやすい。しかも都市部では高層ビルに電波が反射したり遮られたりして、精度がさらに落ちることもある。

日本上空に、精度を底上げする衛星がある

ここで効いてくるのが、日本が独自に運用している測位衛星「みちびき」だ。GPSを置き換えるものではなく、GPSの信号を補い、精度を上げるための衛星として打ち上げられている。

みちびきには、位置のズレを補正する情報を追加で送る機能があり、これに対応した受信機を使うと、位置情報の精度が数十センチ単位まで上がるとされている。数メートルの世界から数十センチの世界になれば、「車線一本分」の誤差はほぼ解消される計算になる。

カーナビやスマホの側にみちびき対応のチップが搭載され、この補正情報を受け取れるようになった結果として、分岐での案内がぴたりと合うようになった、というのが体感の裏側にある変化だ。対応機種が増えるにつれて、この恩恵を受けられる人も増えている。

「衛星」というと大げさに聞こえるけれど

みちびきは日本の上空に長くとどまるような軌道を描いていて、常に日本のどこかから見上げられる位置に衛星がいるように設計されている。だからこそ、都市部のビルの谷間や山間部でも、GPSだけでは届きにくい精度の補強を受けやすい。

毎日何気なく使っているカーナビの案内が、実は頭上数万キロを飛ぶ衛星からの信号によって数十センチ単位まで研ぎ澄まされている。分岐でヒヤッとする回数が減ったのだとしたら、それは運転が上手くなったからではなく、空の上の仕組みが静かに進化していたからかもしれない。

参考