16時間ごとに増えている、あなたの電波の
圏外だった場所に、電波が届き始めている
登山中に電波が入って助かった、船の上でもメッセージが送れた——そんな話を最近聞いた人もいるかもしれない。数年前まで「圏外」が当たり前だった場所で、少しずつ電波が入るようになってきている。
これは基地局が急に増えたわけではない。頭の上、はるか上空で、静かに進んでいる工事のような作業の成果だ。
16時間で2回、休みなく続く「打ち上げ」
2026年8月22日、アメリカの民間企業が国内2か所の発射場から、ロケットを立て続けに打ち上げた。時間差はおよそ16時間。1日も経たないうちに2回だ。
合わせて軌道に投入されたのは56機の小型衛星。トラック2台分の荷物を、1日足らずで別々の場所から運び終えたようなペースといえば、忙しなさが伝わるだろうか。
この企業が繰り返しているのは、通信用の小型衛星を地球の周りにびっしり並べる作業だ。1回の打ち上げで届けられる衛星の数には限りがあるので、必要な数を揃えるには何度も打ち上げるしかない。だからこの企業は、ほぼ毎週のようにロケットを飛ばし続けている。
正体は「衛星インターネット」
ここまで読んで察しがついた人もいるだろう。これはStarlink(スターリンク)という衛星インターネットサービスのための打ち上げだ。基地局や光ファイバーを引くのが難しい山間部、離島、海上でも、空に浮かぶ衛星さえ見えればネットにつながる仕組みになっている。
地上のアンテナ塔と違い、衛星は数がものを言う。1つの衛星がカバーできる範囲には限りがあるため、地球全体をムラなくカバーするには数千機規模の衛星群が必要になる。今回の56機も、その巨大なネットワークに加わる新入りたちだ。
料金や生活への影響は
衛星インターネットは現状、地上の光回線より月額料金が高めに設定されていることが多い。ただし衛星の打ち上げコストが下がり、打ち上げ頻度が上がるほど、1機あたりのコストは下がっていく可能性がある——というのが業界でよく語られる見立てだ。実際に料金が下がるかどうかは、今後のサービス展開次第で確定的なことは言えないが、「圏外エリアの選択肢が増える」こと自体は、災害時の通信手段としても注目されている。
打ち上げペースという定点観測
この企業のロケット打ち上げ頻度は、事業の勢いを測るバロメーターのようなものだ。1日に2回というペースが今後も続くのか、それとも一時的なものなのか。淡々と積み重なる打ち上げ回数の中に、次世代の通信インフラがどれだけ本気で作られているかが表れている。
参考
- https://sorae.info/ssn/20260822-starlink-g10-39-g15-20.html