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台風の進路予報、実はこっそり精度が上がっています

傘を持って出るか、洗濯物を外に干すか。台風が来るとき避難するかどうか。こうした判断は、天気予報の「あと数時間後」「あと数ミリ」の精度にかなり左右されます。実はその精度、今日から少しだけ底上げされています。

天気予報が外れる理由は「水」にある

天気予報の計算では、気温や気圧だけでなく「大気中や海面にどれだけ水分があるか」がとても重要な材料になります。台風の発達も、豪雨の急激な強まりも、水蒸気や海水温の動きと切り離せません。ところがこの「水の量」は、地上の観測所だけでは広い範囲を細かく把握できません。海の上や山の奥、観測所が少ない場所ほど予報の精度が落ちやすいのはこのためです。

上空から「水」を測るセンサ

この弱点を補っているのが、地球を周回しながらマイクロ波で地表や大気を観測するセンサです。マイクロ波は雲を通り抜けて届くため、曇りの日でも海面水温や水蒸気量、土壌の湿り具合、雪や氷の状態まで広範囲にわたって捉えることができます。天気予報の計算モデルは、こうした観測データを取り込むことで、台風の進路や豪雨の強さの予測を日々アップデートしています。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は6月30日、この観測を担う次世代センサ「高性能マイクロ波放射計3(AMSR3)」のデータ提供を開始したと発表しました。AMSR3は、これまで運用されてきた観測センサの後継にあたり、気象予報の精度向上などに貢献するとされています。

私たちの生活に返ってくる仕組み

このデータは気象機関などに提供され、日々の天気予報や台風進路予測、豪雨警報の計算に組み込まれていく見込みです。私たちがスマホで見る「明日の降水確率」や「台風の予想進路図」は、こうした地球観測データの積み重ねの上に成り立っています。つまり、傘を持つかどうかの小さな判断の裏側には、地球を周回しながら水を測り続けるセンサの存在があるということです。

天気予報が「なんとなく前より当たるようになった気がする」と感じる日が来たら、それは空の上で新しい目が働き始めたサインかもしれません。

参考